レポート報告 stiffslackにおけるハラスメント対策・防止のルールβ版を考える会
2024/03/20
レポート報告
stiffslackにおけるハラスメント対策・防止のルールβ版を考える会
2024/01/25 @stiffslack
当店では、2023年6月12日と2023年8月23日に行われた「ハラスメント対策・防止のルール策定に向けたレクチャー・ワークショップ」を踏まえて、当店におけるハラスメント対策・防止のルールβ版を考える会を開催いたしました。今回も引き続き、ジェンダー・セクシュアリティの専門家である堀あきこさん(関西大学他非常勤講師)を講師としてお迎えして進行等をお願いいたしました。意見交換会の内容についてご報告いたします。
※【ご注意事項】※
本レポートにも性暴力被害に関する記述が含まれており、本レポートをご覧いただくだけでも、フラッシュバックが起こったり、精神的緊張が高まったりする可能性があります。ご注意いただきつつ、ご関心のある方にご覧いただけますと幸いです。
冒頭に堀さんによる第1回、第2回のレクチャーの振り返りを行っていただき、その後は、参加者を4グループにわけて当店で作成したルールの素案を元に議論し、議論の内容をグループごとに発表しました。
■アジェンダ
・経緯説明
・これまでのレクチャー・ワークショップの概要
・ゲスト紹介
・グループでのディスカッション
・グループの意見発表
1 レクチャー・ワークショップの振り返り
まず、最初に堀さんに第1回、第2回のレクチャーに関する振り返りをしていただきました
第1回の内容については、下記のレポートをご覧ください。
https://www.stiffslack.com/news/202307/post-21.html
第2回の内容については、下記のレポートをご覧ください。
https://www.stiffslack.com/news/202311/2.html
2 ゲスト紹介
今回は、ゲスト参加者として、名古屋で「touten bookstore」という書店を営む古賀さんと、ライブハウス内でのチカン防止についての取り組みを行っているnaeさんにご参加いただきました。
お二人からは、自己紹介と取り組まれている活動などについてお話をいただきました。
3 グループでのディスカッションと意見発表
ゲスト紹介の後に、グループにわかれて当店が用意したルールの仮案を元にディスカッションと意見発表を行いました。
■グループで議論を行うにあたってのグランドルールとして第1回同様、下記のルールが設定されました。
【グランドルール】
・人の意見を最後までしっかりと聞く。途中で遮ったり、自分の意見にこだわったり、否定的な表情や態度ではなく、尊重すること。
・発言する時は自分の考えや根拠を明確にする。感情的になったり、一方的に主張したりせず、相手が理解しやすいように話すことを心がける。
・無理して話さなくてもよい。沈黙はOK。
・ハラスメントに該当するような言動は絶対にしない。
・公平性を保つために、一人で長々と話し続けない。
・話した内容は秘密にする。参加者以外の人に漏らしたり、悪口や噂話にしたりしない。プライバシーを守る。
・この場所が「対等な関係」となっているか、注意する。
■各グループで議論した後に、各グループの発表の時間が設けられました。各グループの発表にていただいた主なご意見は以下の通りです。
・ルールのタイトルから目的が読み取りづらい→"安全な場所を作っていくために"などに変えてはどうか?
・ハラスメント行為の禁止の説明部分になぜ禁止するのかの理由を明記するルールで禁止する理由の明記があるべき。
・ハラスメント行為や迷惑行為の例示の部分の文言の修正のご意見
・詳細版も情報の重複があるので精査してスッキリさせた方がよい
・相談・報告用フォーム(LINE、各種SNS、メールl、電話)の運用方法(どのような対応をしていくのか)がわからないのでフローなどの紹介があると良い。→誰が動くのか。スタッフの負担が大きそう。
・外部の公共相談機関の案内があるとよいべき。
・簡易版掲示ポスターにはピクトグラムでわかりやすく表現し、ルールの詳細版へのリンク、各種相談フォームへのQRコードをつけるとよい。
・ルールの運用に関して出演アーティストや、イベンターへ協力をあおぐ際に、ルールを配布したりダウンロードできるように案内したりするとよい。
・協力いただけるアーティストやイベンター、スタッフがわかるようにスタッフパスなどがあるとよい。
上記のようなご意見やアイデアをいただきました。
4 ルールβ版を考える会の所感(新川拓哉)
昨年6月、8月の2回にわたり講師としてレクチャー・ワークショップを開催していただき、今回の会のファシリテートも行ってくださいました堀あきこ先生、またゲストとしてセーファースペースの概念をご説明くださいましたTouten Bookstoreの古賀様、ライブハウス痴漢防止/見守り隊の活動をされているnae様、ご参加いただきました皆様、誠にありがとうございました。今回、「セーファースペース」という考え方が今の自分やお店に対し本当に必要なことであると感じました。過去の私自身の認知の歪みやジェンダー等に関する意識の低さを認識・反省すると共に、常により安全、安心な場を考え続けること、できることから私もお店も律していきたいと思います。
また今回の会でいただいたみなさまの貴重なご意見を元に、まずはルールβ版としてできることから反映、実践していきたいと思います。また、ルールにしたがって当店を運営していく中で出てくる問題点については、半年に一回の振り返りの際に見直していければと思っております。もちろん、即時修正対応が可能な事柄に都度アップデートしていくようにしたいです。当店を、今よりも少しでもよい場所、安全な場所を目指すというセーファースペースとして行けるようするため、尽力して参ります。
5 ルールβ版を考える会を開くことになった経緯
当店において、これまでのレクチャー・ワークショップや今回のルールβ版を考える会を開催するきっかけとなった経緯について、時系列にしたがって改めて整理いたします。
2021年12月6日:移転前の旧stiffslack店舗にて発生した当店代表新川によるハラスメント行為に言及したツイートが旧Twitter(現X)にて投稿される(以下、ツイート主様を「A様」といいます)。
2021年12月7日以降:新川から受けたハラスメント行為を告発するツイートがA様以外の複数アカウントより旧Twitter(現X)に投稿される。
2021年12月9日:当店旧Twitter(現X)アカウントより、ステートメントを発表。
2021年12月17日:上記ステートメントを撤回(以下、「撤回済みステートメント」といいます)。
2021年12月〜2022年4月:双方代理人間で協議を続ける。
2022年4月7日:A様の事前確認を経たうえでステートメントを最終版として発表。
2022年7月13日:読書会1回目
2022年8月2日:読書会2回目
2022年8月17日:読書会3回目
2022年8月30日:読書会4回目
2022年10月5日:上記読書会の開催方法を改める旨を発表。
2022年10月〜2023年6月:双方代理人間で協議を続ける。
2023年6月12日:レクチャー・ワークショップ第1回目
2023年8月23日:レクチャー・ワークショップ第2回目
2024年1月25日:stiffslackにおけるハラスメント対策・防止のルールβ版を考える会
新川のハラスメント行為に対するA様の告発を契機として、A様以外の複数アカウントからも旧Twitter(現X)で過去の新川によるハラスメント行為を告発する投稿がなされました。これを受けて、新川は事態を早く収束させたいという気持ちが先行するあまり、撤回済みステートメントを発表しました。この撤回済みステートメントはA様の確認を経ずに出されたものであり、当該ステートメント自体が二次加害と呼べるようなものでした。その後、A様の代理人と協議をし、新たなステートメントを発表しました。新たなステートメントにおいて今後の改善策として読書会を開催し、当店のルールについて策定することをお約束しました。その後、読書会を何度か開催したものの、読書会の運営方法についての知識が不十分のままに開催してしまったこともあり、読書会の当初の開催目的を見失ってしまうような運営になってしまいました。このため、軌道修正を図るため、読書会ではなく別の方法を模索することになり、堀さんをお招きして、レクチャー・ワークショップを開催するということになりました。A様や他の複数のアカウントからのハラスメント行為の告発を受けて、新川は、当時の自身の認知の歪みやジェンダー等に関する意識の低さを認識・反省し、今後、当店を運営していくにあたって、より多くの人に開かれ、かつ安全に音楽を楽しんでもらえるようなお店づくりを行うために、当店のルール策定に向けて、歩みを進めて行きたいと考えております。当初のステートメントにおいては、ルールの策定時期について、ステートメント発表から1年以内に行うと宣言していたにもかかわらず、その時期を守ることができず、申し訳ありませんでした。
6 今後に関して
今回のルールβ版を考える会を踏まえて、参加者から出た意見を元に、当店におけるルールのβ版を作成いたしました。当店では、このルールのβ版を元に、今後の当店の運営を実施していきます。またスタッフと協力し安全な場所を作っていく為に先ず、スタッフ間での権力勾配を少しでも是正するためstiffslack実店舗の責任者及び支配人を私、新川から竹岡へ委任致します。雇用主と従業員非雇用者という部分で完全な権力勾配はな無くならないかもしれませんがより現場の環境を肌で感じている人材へ任せることで少しでも対等な関係性に近づけて切磋琢磨していければと考えてのことです。
またルールβ版の運用開始から6ヶ月経った段階で、改めてルールを考える会を開催し、ルールの見直しも含めた議論を行いたいと考えております。
実際に当店でルールがきちんと運用されているのか、足りないルールはないのか、より良い運用方法はないのか、といった点について見直すべく議論できればと思っております。
ルールβ版を踏まえた当店の運営に関して引き続きご関心を寄せていただけますと幸いです。